泉岳寺からの提言

今回計画されているマンションの建設は、当町会の中心に存在し、住民の信仰と憩いの場である萬松山泉岳寺を象徴する中門(現総門)に隣接するもので、町の景観を大いに損なうばかりでなく、徳川時代初期(寛永年間)に移転建立されてより約380年に亘って、この地を見守ってきた掛け替えのない遺産に傷を付ける行為であります。

 

更に元禄義挙(1703年)以降は、赤穂浪士を祭る寺として有名を博し、浅野長矩及び義士の墓所は国の史跡にも指定されており、特に忠義に始まる倫理規範が日本の美徳として国の内外からも共感を得て、全国より参拝者が絶えず、特に最近は海外からの訪問者が急増しています。

 

このような土地にある当地域は、その街並みの情緒と歴史的文化財の価値を守り、次の世代に伝えていくことは実に大切なことであり、区の文化行政の水準を高めることに結びつくものであります。

 

従って、今回のような街の景観を崩し、文化財の価値を貶めるマンション建設計画は、400年の歴史を有する泉岳寺の歴史的・文化的価値や宗教的・道徳的情操の働きを薄めるものとなり、日本の倫理的精神的支柱に感動して訪れる国内外の人々に、大きな失望感を懐かせるものとなるでしょう。

 

そして、このような街の景観を野放図に侵害する行為を、建築基準法に適っているからと言うことだけで容認するならば、多くの人が深い失望を懐くことになるのではないでしょうか。

 

当地域の歴史的文化につながる景観の調和を守るために、この計画の変更を嘆願致します。

 

宗教法人泉岳寺